「この弟が、誠の弟のようでな。ワシにとっては無二の

上一篇 / 下一篇  2019-01-16 19:27:28

「この弟が、誠の弟のようでな。ワシにとっては無二の存在なんじゃ。事情があってこちらにおったが、そろそろ頃合いかと思うてな。」隼人がそう言うと、景虎が竹千代について、色々と尋ねてきた。億嘉國際產品人は、昔を思い出すように遠い目をすると、死んでしまった裕司の話や、竹千代との出会い、孕石家を潰した事などを掻い摘んで説明した。景虎は、それらの話を、真剣に聞いていたが、「そういう事であったのか…。…じゃが。…くどいようじゃが、誠に良いのか?ヌシは今、己の財を全てワシに譲るというような事を言っておるのじゃぞ?」再度念を押す。景虎は、それだけ隼人の身になって、諸々の事を考えてくれているのであろう。「あぁ。ワシは権力や銭に執着は無い。権力に座れば対等な仲間を失い、銭など…何とか食い繋げられればそれで良い。じゃが、守りたい者の代用は利かぬのじゃ。」「その守りたい者の中に、佐渡の民は入っておらんのか?」景虎は、鋭いところを突く。「佐渡の者達を守りたくないと言えば嘘になる。」隼人は、一度目を瞑り、その目を再び開くと、景虎に向けて両手を差し出した。「じゃが、ワシの腕は二本しか無い。また、ワシの器量もこれと同等じゃ。この戦乱の世において、二本の腕では竹千代を守るのに精一杯。竹千代を守りたいという想い抱えるためには、苦しくも佐渡の者達を手放さねばならぬ。」「ヌシの器量と来たか…。」景虎は、そうポツリとこぼすと、隼人に眼を据える。「隼人よ…。ワシの見立ては以前と変わっておらぬ。ヌシは、多くの者を統べるべき男よ。ヌシが思っておる以上にヌシの器は大きい。それが分からぬか?」「買い被りすぎだ。」「左様か…。」そう言った景虎は、一度眼を閉じると、呟くような小声で、「佐渡勢を率いたヌシと共に、乱世を歩みたかったが、叶わぬ願いか…。」そう言うと、腹を据えたように強い眼光を放ち始めた。


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